「キミのくせに!」学概論〜リリホワにみる微熱〜

「リリホワは学問」

こんにちは、今回は2013年6月26日発売、lily white 2nd single「微熱からMystery」の収録曲「キミのくせに!」について歌詞考察していきたいなと思います

μ'sの曲を聴かない日が無いと言ってもいいほどいつも楽曲に触れている管理人ですが、特にリリホワが大好物

箱入り娘がちょこっと顔を覗かせながら手招きしてる感じがたまんないんです

それでははじめに、リリホワの楽曲を語る上で欠かせない「微熱」という概念について紹介しておきます

100曲以上にもなるμ’sの全楽曲の作詞を手掛けた畑亜貴さん

「Cut」 2015年8月号にて畑さんは「微熱」についてこう語っています

そう、わたしは”微熱”っていう言葉が大好きで、アイドルに一番似合うことは”微熱”だと思ってるんです。
熱にちょっと浮かされた感じが、とてもとても似合うんですね。
彼女たちにはこれから何が起こるかわからないんですよ。
「何? この熱い気持ちは?」っていう。
なんか頬が熱い、胸が熱い、耳たぶが熱い、っていうのがアイドルなんですよね、やっぱり。
わたしの一生のテーマなので、アイドルと微熱は

つまり、微熱とは熱に浮かされた感じ、「どうしてか分からないが、体が熱い状態」のことです

ラブライブ!シリーズの第一話では必ずこの「微熱」の描写があったはずです
穂乃果が「A-RISE」を見て、千歌が「μ's」を見たときの様に

でも、それは「スクールアイドル」だけでなく他の物事にも当てはまります

管理人が今回語りたいのは狭義としての微熱、「恋心」です

恋に落ちる瞬間は何故か分からないけど体が熱くなって胸がドキドキしてしまうものですよね
「好き」という状態に至ってしまったらもう微熱でもなんでもありません
自分が相手を「好き」でいるという認識があってはいけない、恋に落ちる瞬間こそ「微熱」であり崇高なのです

今回解説する「キミのくせに!」は「微熱」はもちろん、1人の少女の「幼なじみ」であるからこその色々な感情や戸惑い、心の揺れ動きが描かれたニヤつき必至の楽曲となっています

考察していくにあたって主人公を「私」、相手を「キミ」で進めていきます

それでは!

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NO! I know you, you know me

I say "We are friends!!"

ここでは後々のことを考えてあえて触れません

とりあえず"私"は「私たちは友達」であると主張しているという点だけ押さえておきます

子どもの頃はいつだって

泣き虫だったキミなのに

いつの間にやら逆転したかも

悔しいな ぷんぷんっ

先ほども説明しましたが、私はキミの「子どもの頃」を知っている、つまり幼なじみなんですね

この後続いていく私の心情や戸惑いは全て2人が「幼なじみ」であるという関係に起因するものなのでとても重要になります

「泣き虫だったはずのキミ」という私の抱いていた固定観念とは全く違う現在の状況に「悔しい」という気持ちを抱いているみたいですね
この場合、「悔しい」というよりは「焦り」という感情に近いのかもしれません

 

二人きりだと たまになぜか

横顔がおとなに見えるよ

キミのくせに! こころ揺れちゃうよ

ちがう! NO NO NO NO NO!!

ここで新情報なのですが、未だに2人きりで会う機会があるようですね

「疎遠になってしまった」という訳ではなく、未だに近しい距離感でいるという背景がここで与えられます
(クラスは別でも登下校が一緒みたいな感じかな?)

 

「こころが揺れる」とはどういうことでしょう

実際に辞書で検索をかけると「しっかりとした決意が固まらない、自らの考えが定まらない」ことであると分かりました

そう、ここで初めの「私達は友達である」という"私"の主張に繋がります

だいたい全体像が見えてきましたね

ふいに見た横顔がおとなに見えて思わず「ドキッ」としてしまっている訳です

うん、幼なじみ系にお馴染みの恋愛パターンですね

そしてそんな気持ちに見栄を張るかのような「NO」の回数

私はまだキミの顔を見れているんですよね

きっと完全に恋に落ちてしまったら顔は見れなくなってしまうんです

本当に畑さんはこの恋心に気づき始めた少女の心情を描くのが上手いなあと思うわけです

 

あ・れ・れ? 友だちだよね

無駄にドキドキ へんだな

あ・れ・れ? 幼なじみだからって

恋に落ちちゃうわけではないからねっ!


来ましたね「微熱」が!!!!!!!!!!

「あれれ?」、「ドキドキ」、「へんだな」もう全部微熱なんですよ、、

まあ1番Bメロの段階で微熱判定してもいいんですけど、ここが一番わかりやすいかなと思います

 

そして極めつけは後半

おいリリホワ!!!

この「ねっ!」はマジでダメだろ、完全に誘ってるじゃん

畑さんは各ユニットに対して明確なテーマを持っていて、特にリリホワは「守る」であるようにあらゆる楽曲で「受動的である」という姿勢を崩さないんです

たとえば「知らないLove*教えてLove」では「さらわれたい」であり「微熱からMystery」では「ひとりじゃなんにもできない...チラッ」であり、「乙姫心で恋宮殿」では「きて...」であるようにこの曲も例外ではありません

完全に上目づかいで誘われているんです、マジで助けてください

ただ、これで終わりではありません...リリホワはこの後も仕掛けてきます

 

ふざけて叩く背中が

広く感じてうろたえる

やんちゃなだけのキミはどこ行った

寂しいな すんすんっ

うんうん、これな、、

小中学生あたりまでは成長のスピードが男の子より女の子の方が早いんですよね

多分ほんのちょっと前までは私の方が体が大きかったんです

だからこそ広い背中とのギャップが凄すぎてうろたえてしまう

 

またキミが精神的にも成熟してきて寂しく思っていることも分かります

1番の「ぷんぷんっ」と対応して「すんすんっ」なのが綺麗な構成ですよね

この辺りでも畑さんのワードセンスが光ります

 

彼女なんかは いないみたい

出来るはずないそう思えば

キミのくせに! 今日は女子連(づ)れ

ひどい! NO NO NO NO NO!!

それでも「彼女なんかはいないはずだ!」と高を括っていた矢先に女子と一緒にいる所を目撃してしまう

幼なじみにありがちですが、今までの2人の距離感が近すぎるが余り私は「キミが魅力的である」ことに気づけてないんです

この「女子連れ」は「横顔がおとな」だとか「体が大きい」のような私からの相対的な評価とは異なり、僕たち聞き手に対して「キミはモテる」という絶対的な情報を与えます

もう完全に外堀が埋まってきてますね…

また、気づきたいのが後半の「ひどい」という感情です

キミに対してその気が無ければ先を越されて、あるいは予想を裏切られて「悔しい」という感情が適切だと思いますが、出てきたのは「ひどい」

もうさぁ、好きなんじゃね?

なんか、恋愛系にありがちな「幼い頃にその意味を知らずに結婚を誓いあった」みたいな情景がチラついてしまいます

すると「NO」の意味が1番の「違う!」とは異なり「ダメ!」になるんですよね

もうさぁ、好きなんじゃね?

あ・れ・れ? 友だちなのに

無駄にヤキモキ へんだな

あ・れ・れ? 幼なじみだからって

恋に落ちちゃう気がするどうしよう!

え、え、え、恋に、恋に落ちちゃう???

気がする!!!!!!!

「気がする」だったわ…セーフ…ふぅ…

まだ恋に落ちてない、まだ「微熱」だ

 

あ・れ・れ? 友だちだよね
無駄にドキドキ へんだな
あ・れ・れ? 幼なじみだからって
恋に落ちちゃうわけではないからねっ!
あ・れ・れ? 友だちなのに
無駄にヤキモキ へんだな
あ・れ・れ? 幼なじみだからって
恋に落ちちゃう気がするどうしよう!

「恋に落ちちゃうわけではないからねっ!」からの「恋に落ちちゃう気がするどうしよう!」の心の揺れ動きが尊い...

別に恋に落ちてもいいじゃないですか

いいえ、幼なじみは話が別なんです

ちょっと前までは見守る立場だった、「アンタほんとバカね…」みたいなこと言ってた以上恋に落ちちゃダメなんです!

それでも止められない、加速していく胸の高まりに「どうしよう!」なんです

 

NO! I know you, you know me
I say "We are friends!!"
NO! I know you, you know me
Say you? "We are friends!!"

この「Say you?」、あざとすぎてマジで座ってるイス壊しそうになりました

「私は友達だと思ってるよ?で、君はどうなの?」みたいな

今まで散々「ヤバい、恋に落ちちゃいそう!」だとか抜かしてたくせに結局自分では決められず結論を相手に委ねてしまう

やっぱりリリホワは「守ってしまう」んですよね~

絶対に受動的なスタンスは崩さないんです

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どうでしたか、「キミのくせに!」

lily whiteの狡猾さ溢れる楽曲ですよね

リリホワにはこの他にも良い曲いっぱいあるのでまたの機会に語りたいなぁ〜って思います

それでは!